太郎が生れたことで、わたしは母と和解をし
毎年、日本に里帰りをするようになりました。
あんなに「日本なんて大嫌い!」と思っていたわたしですが
日本を離れてみて日本の素晴らしいところ、家族の温かさに気づき
10月から6月まで氷の世界に閉ざされる、クグルクトゥックの長くて暗いそしてとても寒い冬は、太郎を連れて日本に里帰りをしました。
太郎を日本の両親に合わせてあげたいというのはもちろんですが
わたし自身日本に帰って
思いっきり両親に甘え
日本のあちこちに出かけ
日本の美味しいものを食べ
日本の便利な生活を楽しみ
日本を満喫して改めて日本の良いところを認識するために帰っていたのでしょう。
離れてみるとほんと良いところがわかります。
じ〜っと狭い範囲のところで生活をし、そこだけで見聞きする狭い価値観の中では気づかないことが
その中から飛び出して違った世界を見ることで気づかせてもらえます。
たった人口1200人ほどの、その中でもイヌイット以外の人はほんの1割という中で
クグルクトゥックには色んな国のバックグラウンドのある人が働きに来ていました。
イギリス、フランス、メキシコ、ドイツ、インド、デンマーク。
色んな価値観を持つ人が小さな村に集まり、色んな会話が進んでゆきます。
『人種のるつぼ』と言われるアメリカ同様、カナダも移民の国です。
色んな人が色んな文化や価値観をもって、混ざり合って生活をしています。
そんな人との会話を通して、わたしが日本にいた時に採用していた価値観だけが絶対的なものではないと
ひとそれぞれの育ってきた環境や文化的背景によって、それぞれが信じている『常識』というものが違うんだということが
日本を離れて色んなバックグラウンドをもつ人と交流することでわかりました。
そのお陰で、わたしは小さい頃から日本で自分にインプットしてきた『概念』を手放してゆくことができ
自由に自分自身が納得のゆく新しい『概念』を取り入れてゆくことになっていったのです。
-30-に続く
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