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ホームシックにかかりいてもたってもいられなくなった時は、一人暗闇の中、凍り付いた大地を歩き、村の灯りも見えない、人が一人もいない場所へ行きました。
誰にも会いたくない。でもさみしくてしかたない。
そう思いながら雪の積もる凍り付いた大地の上に一人でじっと気のすむまで座っていました。
私の主人は結婚するまでの独身生活が長く、自分一人の人生を満喫していました。
自由が好きで、自分をしっかり持っていて、人がなんと言おうが人の言うことなど気にせず自分の思いを貫き通す人でした。
私は彼のそういったところに惹かれ「私もまわりの目を気にせずに自分らしく彼のように生きれたらな」と思いました。
お互い一目惚れで付き合い出して結婚したけれど、いざ家庭を持つと学びが始まるものです。
私にないものを彼が持っていて、彼にないものを私が持っていた。
その後別れることになったときに彼が言ったことですが、彼になくて私にあったものは「人の愛しかた」でした。
彼は「どうやって人を愛してよいか分からない、どうやって愛情をかければよいか分からないから教えて欲しい」と言いました。
結婚してからも自分のしたいことをいつもしていた主人。
私はそれについて行けずに一人取り残されることが多くありました。
英語もまだそれほど流暢に話すことも出来ずフラストレーションがたまり「英語なんてしゃべりたくない!」と思うこともよくあり、そんな時は一人ふらっと外に出てあてもなく歩き、一人っきりになって日本語で自分と対話をしました。
そんなある日、そうやって一人っきりで大地に座っていた時にある体験をしました。
外の気温はマイナス30℃。座っている地面には、空から解けずに降ってきた雪が結晶の形を残したままたくさん積もっていました。
そこは村から少し離れた人が一人もいないところ。
村の灯りも届かない真っ暗な中、雪が白く反射してなんとなくボワンとした明るさがあるだけでした。
かろうじてまわりにある雪の結晶が見えました。
その日は風もなく、静かにしていると「しーん」という空気の音だけが聞こえました。
「さみしいな。ほんとにさみしいよ。」そう思っていると、心の奥からなんだか温かい、優しい気持があふれてきました。
「あなたは一人じゃないよ。あなたはいつも私と一緒。大丈夫。」言葉にするとそういった感覚がこみ上げてきたのです。
私はそのときお母さんの懐に抱かれているような気持になり「ありがとう。ありがとう。私は守られている。ありがとう。」と心の中で言いながら涙を流しました。
「あー。母なる大地が私をいつも守ってくれている。わたしは絶対にどんなことがあっても大丈夫」これは母なる地球からの「絶対なる愛」のメッセージなんだと思いました。
私は一人っきりで大自然にいることで母なる地球と同調し対話をすることが出来たのだと思います。
-24-につづく
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