読むだけでトラウマが解消されるストーリー -10- 別れの日
- ShihoriNakamura
- 2016年9月12日
- 読了時間: 2分
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将来結婚することになる彼との生活がスタートしましたが、日本に帰国するまでの一ヶ月の短い間です。
交際を続けていくにも、同じ国に住んでいていつでも会える距離ではありません。
太平洋という大きな海を超え、さらにアメリカ大陸の北の果てまで行かないと会うことができません。
大きな海と大きな大陸を超えての恋愛です。
刻一刻と近づいてくる別れのときを感じながら、でもお互いにそれを口に出すこともなく共に過ごせる時間を大切に過ごしていきました。
彼とそしてこの地と離れることの寂しさと、籠から放たれた鳥がまた自由のない籠の中に戻らなければならないような、そんな思いと葛藤が私の中で起こっていました。
今は、籠があると自分がかってに思い込んでいただけだったんだというこをわかっていますが、そのときはそんなことはわからずに落ち込んでいました。
あっという間に別れのときがやってきました。
彼が荷造りを手伝ってくれ、そして空港までお世話になった学校の先生がたと一緒に送ってくれました。
「また戻ってくるね」とも「日本に会いにいくからね」という言葉を発することもなく、ただお互い寂しさをこらえながら、たわいもない会話を見送りにきてくれた人たちと交わしていました。
そうしているうちに飛行機に搭乗する時間がきました。
このときは彼のお父さんまで見送りにきてくれていて、一人一人順番にハグをして「ありがとう。さようなら」と別れの挨拶をし、最後に彼とハグをし「Take care. じゃあね」とだけお互いに言って飛行機へと歩いていきました。
飛行機が滑走をはじめ離陸をし視界からKugluktukの空港が消えるまで、彼の姿が見えていました。
それから飛行機の中で何を思っていたか今は思い出せません。
でも、飛行機から見える景色を見ながら、ただただ私にたくさんの体験をさせてくれたこの北の大地と人々に「ありがとう。さようなら」と言っていたことは今でもクリアに思い出せます。
-11-につづく
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